初学者にはOOUIの話ではなく、ドアの話を伝えてみる

2026/04/16

具体的なUIデザイン制作においては、OOUI(オブジェクト指向ユーザーインターフェイス)の話を挟むことで、UIデザインに対する理解度と成果物の向上を狙うことがあります。
自分の担当講義でも、さわり程度ではありますが説明するセクションを用意しています。もっとも、以下のページで紹介されている内容がとてもわかりやすいので、詳細や理解の促進はそちらに頼りっきりなのですが。

さて、最近は「律儀にOOUIの全容を伝えなくてもいいんじゃないか」と考え始めています。というのも、自分にとって学生にOOUIを紹介する目的は、タスク指向のUIを作るのを避けてもらう一点にあるからです。

というわけで、もともとOOUIという言葉は使っていませんでしたが、いまは「オブジェクト」や「動詞」といったワードも省くようにしています。UIデザインの学習は基礎学習だけでも多くの概念や用語(しかも横文字が多い)が登場します。そこにOOUIの話を全部入りで加えるのは、けっこうキャパオーバーな印象があります。

(概念として)知らない言葉をいろいろ渡すよりも「ドアがたくさん並んでいる画面を作ってない?」「それは使いづらさに直結してるんだよ」と話を絞ったほうが、学生の気付きには貢献するんじゃないか、というのが最近の考えです。ドアの話をしたあとは「この画面が対象にしたいのはなんだと思う?」と続け、そこから改善例を提示しています。先述のとおりオブジェクトや動詞といった概念は避けたいので、いまのところは「作ったドアを基礎学習で学んだコンポーネントに変換してみよう」というアプローチを採用しています。また、セクションの終わりではオブジェクト指向にも少し触れているので、興味がある学生への入口は最低限用意している格好になります。

もちろんOOUIの話として見ると歯抜けばかりですが、OOUIを伝えるのが目的ではなく「初学者がやりがちな、一般的には機能性が悪いUIパターンを知り、採用を避けること」が目的なので、自分の講義ではこのアプローチを当面試してみようと思います。

と、ここまで書いて思ったのですが、そもそも近年のデジタルプロダクト(のUIデザイン)の質は格段に向上しており、スマートフォン黎明期に見られたようなタスクの指向UI(一旦ここではわかりやすく「ドアが並んでいるUI」とします)のプロダクトはほぼ見かけなくなりました。
それなのに、なぜInstagramやLINEに慣れ親しんでいる学生からタスク指向のUIデザインが生まれるのでしょうか。

これは推測ですが、ひょっとするとゲームの影響が大きいのかもしれません。ゲームを起動するとタイトル画面で

  • スタート
  • コンティニュー
  • 設定

といった「ドア」が並ぶのは珍しいことではありません。意外とこうした体験の積み重ねが、デジタルなUIを作るとき——それもトップ画面——には入口を置きたくなる意識につながっているのかもしれません。
もちろん日常生活の中にはATMや券売機といったタスク指向の機器も多く存在します。それらの影響もあるでしょう。ちゃんと因果関係を調査してみたら、けっこう面白い成果が得られるかもしれません。