UIデザイン学習におけるシナリオの扱い
WIPユーザー体験の結びつきが強いプロジェクトにおいて、シナリオを書くことは現状把握(As-Isをどれだけ調査できているか、文章化できるか)と未来予測(まだ起こっていない未来をどれだけ具体的に想像できるか)の面から、初学者にとってバランスのよい訓練方法だと感じます。
私の担当講義でもサービスのアイデアやプロダクトのコアを考えるタイミングで導入しているのですが、どのような書式のシナリオであれば初学者にも書けるのか、そもそもシナリオを初学者が書くハードルをどう乗り越える(あるいは低くする)か、いまだに手応えのある答えに辿り着いていません。
具体的には、講義では構造化シナリオのアクティビティシナリオとインタラクションシナリオに相当する内容を記述してもらうのですが、インタラクションシナリオは「インタラクションの知識がないと書けない」というジレンマがあると感じています。
実務経験や長期間の学習・訓練があれば記述はできますが、初学者向けの期間が限られている講義内では「UIデザインを制作する前にUIデザインを想像しなくてはいけない」流れになってしまいます。デザインの制作をある程度(具体的には2〜3コマ相当)経験したのち記述する、といった反復練習ができると好ましいのですが、自分の構成ではそこまでの厚みを持たせられていないのが現状です。また、それだけでシナリオを書ける知識がどれくらい身につくのかは未知数です。
シナリオをどう書くと効果的か、についても試行錯誤の段階です。
構造化シナリオがひろく知られたきっかけのひとつであろう『エクスペリエンス・ビジョン』では、アクティビティシナリオとインタラクションシナリオは同等の文章量(300字前後)で書かれています。
一方で、簡略化・分解して記述されている事例も見られます。
また、アクティビティシナリオとインタラクションシナリオを混ぜて記述されている事例もあります。
これらのバリエーションに良し悪しがあるわけではないと思います。『エクスペリエンス・ビジョン』では工業製品の利用体験の文脈で書かれていますが、現在はデジタルプロダクトの現場で使われているというニュアンスの違いもあるような気がします。細かく書くことで構造化しやすい・インタラクションシナリオを仕様に落とし込みやすい・書きやすくチェックしやすいメリットもありそうです。個人的には、3例目のアクティビティシナリオとインタラクションシナリオを混ぜて書く形式が肌感にあっています。これについては「アクティビティシナリオとインタラクションシナリオを分ける利点は、混ぜることに対してどれくらいあるのか?」という別トピックでも何かしら考えることはできそうです。
『エクスペリエンス・ビジョン』の発売は2012年ですが、そこから現在まで大きな改訂が見られないというのもバリエーションが生まれている要因のひとつかもしれません。アクティビティシナリオの記述(の補助)に対するアプローチは、遠山・吉武(2019)の『UXデザインにおける利用状況の記述方法』で見つかりましたが、具体的な記述例は含まれておらず、効果については未知数です。ただ、アクティビティシナリオそのものに対するアプローチでない点に留意は必要ですが、インタビューで得た情報をどのように記述するか、という橋渡しの面で興味深く感じます。
シナリオに限定する必要はない、という考え方も重要です。目的はシナリオを書くことではなく「UIデザインの制作にあたり、利用者の行動・体験を具体的に想像し、機能を含めた全体像を把握する」が軸になります。もちろん、その前段には「創出したサービスやコア機能のアイデアが対象となる属性にとって有用か」を試行錯誤するプロセスがあるのですが、一旦講義のプロセスに沿って前者にフォーカスして考えてみたいと思います。
- 代表例としてはストーリーボードがある。ただ、絵で書くと実は文章で書くような状況の流れが分断されてしまうので抜け漏れが多い?テキストを書くことで鍛えられる能力値も見逃せない。一方、両方合わせても相乗効果は高いはず。
- 生成AIが発達してきた近年では、もっと別のアプローチも考えられるかもしれない。例えば、シナリオを1セクション書いたらStitchに渡して画面を生成して、次のシナリオを書いて渡して…といったパラレルでUIを検討する方法。
- ただ、これに関しては「デザイン学習と生成AIのバランス」という別テーマが生まれる。
ユーザー体験の結びつきが強いプロジェクトにおいて、シナリオを書くことは現状把握(As-Isをどれだけ調査できているか、文章化できるか)と未来予測(まだ起こっていない未来をどれだけ具体的に想像できるか)の面から、初学者にとってバランスのよい訓練方法だと感じます。
私の担当講義でもサービスのアイデアやプロダクトのコアを考えるタイミングで導入しているのですが、どのような書式のシナリオであれば初学者にも書けるのか、そもそもシナリオを初学者が書くハードルをどう乗り越える(あるいは低くする)か、いまだに手応えのある答えに辿り着いていません。
具体的には、講義では構造化シナリオのアクティビティシナリオとインタラクションシナリオに相当する内容を記述してもらうのですが、インタラクションシナリオは「インタラクションの知識がないと書けない」というジレンマがあると感じています。
実務経験や長期間の学習・訓練があれば記述はできますが、初学者向けの期間が限られている講義内では「UIデザインを制作する前にUIデザインを想像しなくてはいけない」流れになってしまいます。デザインの制作をある程度(具体的には2〜3コマ相当)経験したのち記述する、といった反復練習ができると好ましいのですが、自分の構成ではそこまでの厚みを持たせられていないのが現状です。また、それだけでシナリオを書ける知識がどれくらい身につくのかは未知数です。
シナリオをどう書くと効果的か、についても試行錯誤の段階です。
構造化シナリオがひろく知られたきっかけのひとつであろう『エクスペリエンス・ビジョン』では、アクティビティシナリオとインタラクションシナリオは同等の文章量(300字前後)で書かれています。
一方で、簡略化・分解して記述されている事例も見られます。
また、アクティビティシナリオとインタラクションシナリオを混ぜて記述されている事例もあります。
これらのバリエーションに良し悪しがあるわけではないと思います。『エクスペリエンス・ビジョン』では工業製品の利用体験の文脈で書かれていますが、現在はデジタルプロダクトの現場で使われているというニュアンスの違いもあるような気がします。細かく書くことで構造化しやすい・インタラクションシナリオを仕様に落とし込みやすい・書きやすくチェックしやすいメリットもありそうです。個人的には、3例目のアクティビティシナリオとインタラクションシナリオを混ぜて書く形式が肌感にあっています。これについては「アクティビティシナリオとインタラクションシナリオを分ける利点は、混ぜることに対してどれくらいあるのか?」という別トピックでも何かしら考えることはできそうです。
『エクスペリエンス・ビジョン』の発売は2012年ですが、そこから現在まで大きな改訂が見られないというのもバリエーションが生まれている要因のひとつかもしれません。アクティビティシナリオの記述(の補助)に対するアプローチは、遠山・吉武(2019)の『UXデザインにおける利用状況の記述方法』で見つかりましたが、具体的な記述例は含まれておらず、効果については未知数です。ただ、アクティビティシナリオそのものに対するアプローチでない点に留意は必要ですが、インタビューで得た情報をどのように記述するか、という橋渡しの面で興味深く感じます。
シナリオに限定する必要はない、という考え方も重要です。目的はシナリオを書くことではなく「UIデザインの制作にあたり、利用者の行動・体験を具体的に想像し、機能を含めた全体像を把握する」が軸になります。もちろん、その前段には「創出したサービスやコア機能のアイデアが対象となる属性にとって有用か」を試行錯誤するプロセスがあるのですが、一旦講義のプロセスに沿って前者にフォーカスして考えてみたいと思います。
- 代表例としてはストーリーボードがある。ただ、絵で書くと実は文章で書くような状況の流れが分断されてしまうので抜け漏れが多い?テキストを書くことで鍛えられる能力値も見逃せない。一方、両方合わせても相乗効果は高いはず。
- 生成AIが発達してきた近年では、もっと別のアプローチも考えられるかもしれない。例えば、シナリオを1セクション書いたらStitchに渡して画面を生成して、次のシナリオを書いて渡して…といったパラレルでUIを検討する方法。
- ただ、これに関しては「デザイン学習と生成AIのバランス」という別テーマが生まれる。